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泉美木蘭
2020.4.12 11:06

こちら新宿区。

朝8時すぎから近所の公園が家族連れでにぎわっている。
きのうもバスで港区の公園のそばを通りかかったら、
すごい人出で、子供が元気に走り回っていた。

家にずっとこもっていてもストレスがたまるし、
家族連れは公園に出かけるんだと思う。

スーパーは、「20組ずつの入店制限」ということで、
路上に行列ができている。行列も1メートルずつ間隔をとって
並んでほしいということで、店員の人が
「ソーシャルディスタンスを守って下さーーーーい!!」
と叫びながら、人と人の間を引き離していた。

ソーシャルディスタンスって、小池百合子が言ってたけど、
なんであんな通じない英語を使うんだろう。
ちなみにこのスーパーは、入店時にひとりずつ店員に両手を
差し出してアルコールスプレーをかけてもらう決まりに
なっていて、「マスクをしていない方、入店お断り」だ。

夜はすっかり変貌した。
私は新宿区の飲み屋街の隅に住んでいるので、夜の変化が
半端ない。
ほとんどの店は「当面の間休業します」と張り紙があり、
お通夜みたいな状態だ。
「オドレら」の生放送の日なんかは、いつも夜11時すぎに帰る
けど、賑やかで明るくて人通りがすごく多い時間帯なので、
その間を縫って自宅に帰っていた。

でも、すっかり防犯上よろしくない状態になっちゃったな。

警察官が歩いているけど、人払いというよりは、長期休業に
入った店が多いから、防犯パトロールの意味が大きいと思う。

テレビによく出ている新宿歌舞伎町のほうは普段からあまり
近づかないけど、

警察官と白衣の医師たちが、「STAY HOME」と書いた
プラカードを掲げて練り歩いたらしい。
「STAY HOME」って、英語圏では普通の言葉なのか
知らないけど、日本人の私にとっては犬の調教みたいな言葉に
感じられて、なんだかすごく嫌悪感がある。

私のまわりには、水商売の人が自民党に嘆願書を出す姿を見て、
「大変なのは同じだけど、プライドとしてあれはちょっと…」
と言う同業者の人も
いる。
叩かれるからいまは黙っているけれども、本当は「金をくれ」
より「自粛なんか
さっさとやめろ」と思っている人は、
少数派ながらいるのだ。
店が持ちこたえても、飲みに来ていたお客が失業したら、
共倒れなんだから。

日々の感染者数よりも、日々の解雇者数、倒産数のほうが
よっぽど悲惨だよ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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